チコとビーグルス ”遊びつかれた帰り道" レビュー

SV-821 1969年4月5日発売 今回は「遊びつかれた帰り道」を取り上げます。 このシングルレコードは、チコとビーグルスの2枚目のシングルです。 【A面:遊びつかれた帰り道】 作詞:藤本義一 作曲:奥村英夫 編曲:寺岡真三 前作の「帰り道は遠かった」と同様…

The Cult "Love" レビュー

このアルバムはダークでムーディな音と力強いサビを兼ね備えた、完璧とは言えなくとも素晴らしいロックアルバムである。 このアルバムの長所はその音だろう。80年代らしいビックなドラムと、クリーンでこれまたビッグなギター、そしてその中でも存在感を保つ…

タイアップラップソングの世界:NFS U2とGT7の場合

80年代にメインストリームになり現在まで人気が右肩上がりのものと言えば、ビデオゲームとラップだろう。その2つが交錯した瞬間も、たくさん見てきたはずだ。アメリカの大手ラップレーベルDef Jamが、これまた大手のゲームパブリッシャーのEAとコラボしつく…

Van Halen "1984" レビュー

Van Halenの代表作とも言えるこのアルバムはポップでキャッチーでイカしたロックアルバムだ。 このアルバムはとてもポップだ。"Panama"や"Hot For Teacher"など、シンプルかつ心を掴むロックソングは80年代だけでなくロック史のなかでも最上級のものだ。どの…

メンバー&ブログ紹介 2022年9月版

【ブログ紹介】 3人が好き~な感じのアルバムだったりシングルだったりをレビューしたり、音楽について語り合ったりするブログです。毎日午後五時に投稿します。内容は、基本アルバムやシングルのレビューで、火曜は対談、木曜は雑談などを行なう予定です。 …

Urusei Yatsura "We Are Urusei Yatsura" レビュー

グラスゴーのギークロック系バンドのデビュー作は、歪んだ音を掻き鳴らすインディーロックを名前負けしないポップさで彩った素晴らしい作品だ。 このアルバムの曲はとてもポップだ。最初の"Siamese"における声の掛け合いから"Kernel"の"Doo-do-doo-do-doo"と…

香月サコ ”赤い夕日” レビュー

SDR-1354 1968年6月5日発売 今回は「赤い夕日」を取り上げます。 【A面:赤い夕日】 作詞:水木かおる 作曲:城美好 補作曲:彩木雅夫 編曲:森岡賢一郎 チープな電子オルガン、こもったドラムとベース、GS風なエレキギターなどガレージロック的な魅力をもっ…

Justice "†" レビュー

このアルバムはジャンルの垣根を越える実験的な音とポップなメロディを兼ね備えた唯一無二の名盤だ このアルバムはジャンルに縛られない。もちろん根底にあるのはダンス/エレクトロであるし、当時のクラブシーンを反映したサウンドでもあるが、聴いてみれば…

酒井和歌子 ”青春通り” レビュー

SAS-1127 1968年6月発売 今回は、未公開映画のサントラ盤 ”青春通り” を取り上げます。 東京映画・東宝配給作品「大都会の恋人たち」の挿入歌のレコードです。このレコードは、小ヒットしたものの、この2曲が使われるはずの映画は、制作中止となり、結局公開…

Patricia Taxxon "The Flowers of Robert Mapplethorpe" レビュー

このアルバムは、ドロドロと渦を巻く感情をアグレッシブかつメランコリックに表現した素晴らしいアルバムだ。 このアルバムはいい意味でとても感情的だ。怒りや葛藤や喜びといったものが随所に表れているのは、このアルバムを一聴すればすぐにわかるだろう。…

Coven "Witchcraft Destroys Minds & Reaps Souls" レビュー

オカルトロックの先駆者的存在であるこのアルバムは、悪魔崇拝のテーマとキャッチーな曲作りが融合した、60年代ロックの隠れた名盤である。 このアルバムには、暗くオカルティックな雰囲気が立ち込めている。それは"Black Sabbath"や"Choke, Thirst, Die"、"…

深掘りジュークボックス 第一回 「地名の曲」

1つのテーマをもとに、楽曲を1人2曲選び、その曲について3人で語り合う企画を始めました。 今回のテーマは「日本の地名が入った楽曲」です。 1曲目:Air「Alone in Kyoto」スコット選曲 R:気づいちゃったんだけどさ、最後の方ずっと海の音だったじゃん。 …

Tom Scott With The California Dreamers "The Honeysuckle Breeze" レビュー

サックス奏者Tom Scottのデビューアルバムは良くも悪くも60年代感溢れる、スムーズなジャズアルバムだ。 このアルバムの評価はかなり難しい。というのもほとんどの楽曲がカバーだからだ。しかし確実に伝わってくるのはTom Scottの演奏能力の高さだろう。若々…

The Mighty Mighty BossToneS "Let's Face It" レビュー

このアルバムはキャッチーで聴いていて楽しい曲が多いものの、耳には残りづらいところが残念なアルバムである。 サードウェイブスカとバンドどちらもを代表するアルバムであり、このバンドが"The Impression That I Get"だけの一発屋でないことをしっかりと…

はっぴいえんど "THE HAPPY END" レビュー      

1985年6月15日、はっぴいえんど一夜限りの再結成ライブ。当時メンバー4人それぞれがミュージシャン、作詞家、作曲家として成功しており、多くの期待を背負ってのライブだった。その音源がこのアルバムに収められている。 1985年9月5日リリース。はっぴいえ…

集団行動 "集団行動" レビュー

このデビューアルバムはキャッチーかつポップであるが残念な点も多く見受けられるアルバムであった。 このアルバムの良かったと思う点は、全体的にポップで、それでいて爽やかなロックぽさもあることだ。"バイ・バイ・ブラックボード"のスムーズなリフや"AED…

ザ・サニー・ファイブ ”太陽のジュディー” レビュー

VP-3 1967年11月10日 【概説】 1967年、日本ビクターは、同時期に3つのグループを売り出しました。そのグループは、ザ・モップス、ザ・ダイナマイツ、そして今回取り上げるザ・サニー・ファイブです。モップスとダイナマイツが不良的、不健全なイメージだっ…

Röyksopp "Melody A.M." レビュー

ノルウェー出身のRöyksoppのデビューアルバムは、タイトでファンキーかつお洒落で幻想的なダンスアルバムだ。 このアルバムはとてもいいダンスアルバムだ。跳ねるようなリズムの"Eple"から静かでメランコリックな"Sparks"まで、収録曲すべてが、身体が勝手に…

ザ・バンドッグス他 ”グループ・サウンズのすべてBEST 12” レビュー

今回はケイブンシャから発売された「グループ・サウンズのすべてBEST 12」というフォノシートアルバムを紹介します。 このアルバムは、2枚のフォノシートによって構成されており、1枚につき6曲収録されています。 ジャケットや中の冊子には、寺内タケシとバ…

寺内タケシとバニーズ "悪魔のベイビー" レビュー

HIT-713 1967年8月1日 発売 今回は「悪魔のベイビー/ストップ」を紹介します。 【概説】 バニーズは1966年結成のバンドで、同年12月のデビュー以降、LP「正調寺内節」や、シングル「運命」、「愛のリメンバー」などヒットを連発し、1967年には「レッツ・ゴー…

Blarf "Cease & Desist" レビュー

謎のアーティストBlarfのデビューアルバムは攻撃的かつコミカルでありながらも、サンプルを基盤にした音楽の新たな境地を見せてくれるアルバムだ。 このアルバムは全く真面目なものではない。それは一曲目の"Badass Bullshit Benjamin Buttons Butthole Assa…

Afrika Bambaataa & Soulsonic Force "Planet Rock: The Album" レビュー

80年代ヒップホップでもっとも重要なアルバムの1つであるこのアルバムは、少しの経年劣化を感じさせながらも、現代に通用する側面と革新的なサウンドを持ったパーティアルバムだ。 ヒップホップや音楽史全体にAfrika Bambaataaと彼の作った曲、特に"Planet R…

ブラック・ストーンズ "ヘイ・ミスター・ブルーバード" レビュー 

CP-1002 1967年4月5日発売 今回は「ヘイ・ミスター・ブルーバード」を紹介します。【概説】 ブラック・ストーンズは、1966年頃に結成された伊勢崎町を中心にロックやR&Bを演奏していたグループです。横浜市内の店舗で演奏していた所を中島安敏氏にスカウト…

Green Day "Revolution Radio" レビュー

Green Dayの12枚目のアルバムは、彼らの作曲能力の高さと2010年代のロックの悪さが化学反応を起こし生まれた凡庸なアルバムだ。 収録曲のほとんどは悪くはないロックソングだ。確実にいい曲だと言えるのは"Bang Bang","Revolution Radio",そして"Still Breat…

Pharaoh Sanders "Wisdom Through Music" レビュー

1973年の"Wisdom Through Music"は喜びと希望に満ち溢れた音が、美しくそして力強く奏でられるアルバムだ。 このアルバムでまず語っておきたいのはボーカルについてだ。5曲中3曲にボーカルが収録されていて("The Golden Lamp"にも正確にはボーカルが入って…

細野晴臣 "S・F・X" レビュー 

https://music.apple.com/jp/album/s-f-x-ep/334643302 Yellow Magic Orchestra (YMO)の散開が1983年。その翌年1984年、多くのYMOファンとテクノ好きの期待されながらのリリースとなった本作。その期待を良い意味でも悪い意味でも裏切った作品だろう。YMOと…

レオ・ビーツ "貴族の恋" レビュー 

今回はレオ・ビーツの「貴族の恋 / あなたの影」(1968年3月発売)を紹介します。 【簡単な解説】 このグループは1966年に「里見洋とロス・カンターノス」というバンド名で福岡市で結成。主に福岡市内のディナークラブやダンスホールでラテン中心のレパート…

対談企画 アビイ・ロード 後編

中学の頃からの音楽仲間3人での対談を企画しました。今回はその対談を書き起こし、ブログ記事として公開したいと思います。3時間にわたる長い対談になったため、前編後編に分けたいと思います。 そして、この対談企画から信乃さんがこのブログに参加するこ…

Public Image Limited "Public Image (First Issue)" レビュー

PILのデビューアルバムは怒りと葛藤とで塗られた、いい意味でも悪い意味でも聴く拷問のようなアルバムだ。 このアルバムを最初に聴いたときには最悪のアルバムだと思った。ロットンの怒りに満ちた声が、音が重なり合いノイズの域にまで達しそうな楽器たちに…

対談企画 アビイ・ロード 前編

中学の頃からの音楽仲間3人での対談を企画しました。今回はその対談を書き起こし、ブログ記事として公開したいと思います。3時間にわたる長い対談になったため、前編後編に分けたいと思います。 そして、今回から信乃さんがこのブログに参加することになり…