レオ・ビーツ "貴族の恋" レビュー 

今回はレオ・ビーツの「貴族の恋 / あなたの影」(1968年3月発売)を紹介します。

 

【簡単な解説】

 このグループは1966年に「里見洋とロス・カンターノス」というバンド名で福岡市で結成。主に福岡市内のディナークラブやダンスホールでラテン中心のレパートリーで活動していました。

 1967年に上京してレオ・ビーツに改名した後、シングル「霧の中のマリアンヌ」でGSとしてメジャーデビューしました。このレコードを10万枚以上を売り上げ、レオ・ビーツの知名度と人気が高まってきた頃にこの「貴族の恋」が発売されました。作家陣は同じ渡辺プロに所属するザ・タイガースの「モナリザの微笑」や「銀河のロマンス」などのヒット曲と同じですが、歌詞の世界観や曲を変え、差別化されています。

 

【A面 :貴族の恋】

 作詞 : 橋下淳  作曲 ・編曲: すぎやまこういち  

 「ザ・ヒットパレード・シンガーズ」によるコーラスで高貴な雰囲気を演出しています。

 GSのA面曲で、メンバー以外によるコーラスがこれ以上目立っている曲は無いと思います。

 凝った曲調で、他のGSと上手く差別化出来ていますが、全国的ヒットには結びつかなかったようです。イントロの電子オルガンの音色がGSっぽい感じがします。

 

【B面 : あなたの影】

 作詞 : 橋下淳  作曲 ・編曲: すぎやまこういち

 このグループがリリースした4枚のシングルのなかでは、最も正統派のGSっぽい曲です。テンポが速く、2分程度の短い曲のため、疾走感があります。

 歌声は抑揚がはっきりしていて、声質に個性があり、印象に残ります。

 間奏のアドリブ感のある電子オルガンからは遊び心が感じられ、ベースは目立たないものの、メリハリが効いていて、サビのコーラスの美しさを引き立たせています。ギロやコンガを使っている点やドラムの奏法にラテンバンドである事が垣間見れます。

 

【ジャケットについて】

 このレコードのジャケットと販促ポスターの写真は数年前に閉園した遊園地 豊島園 で撮影されました。写真に写るSLの遊具は塗装が変更され、長い間豊島園内に保存されていました。豊島園が閉園後の現在、何処にあるのかが気になります。

 

【終わりに】

 2曲とも3分未満の短い曲ではありますが、なかなか印象的な楽曲だと思います。B面のあなたの影はなかなかノリの良い楽曲なので、最近のバンドがカヴァーしても結構盛り上がると思います。