ザ・バンドッグス他 ”グループ・サウンズのすべてBEST 12” レビュー
今回はケイブンシャから発売された「グループ・サウンズのすべてBEST 12」というフォノシートアルバムを紹介します。
このアルバムは、2枚のフォノシートによって構成されており、1枚につき6曲収録されています。
ジャケットや中の冊子には、寺内タケシとバニーズやザ・モンキーズ、ザ・タイガースなどの写真が使われていますが、それらのバンドのオリジナル音源は入っておらず、すべて「神谷正行とヤング・ビーツ」、「大沢保郎と彼のグループ」、「ザ・バンドッグス」の3グループのいずれかによるカヴァーです。
[レビュー]
〈1枚目A面〉
1.北国の二人 神谷正行とヤング・ビーツ
すこしキーボードの演奏が独特ですが、このアルバムの中では原曲に忠実です。
2.愛こそはすべて 大沢保郎と彼のグループ
独特なアレンジがなされていて、「愛こそはすべて」ではない別の曲のような感じです。
3.アイム・ア・ビリーバー ザ・バンドッグス 歌入り
リズムが狂わず、安定した歌と演奏です。ジャズ喫茶でもこの曲を演奏していたのではないかと思う程しっかりしていて、安心して聴けます。
〈1枚目B面〉
1.あの虹をつかもう 大沢保郎と彼のグループ
「愛こそはすべて」同様に独特なアレンジがなされていて、まとまりがない分記憶に残りにくいです。
2. 好きさ好きさ好きさ 神谷正行とヤング・ビーツ
「こんなにお前を~もう逃がさない」までのメロディーはキーボードで、他のメロディーはギターが演奏しています。全体的にあまり元気がない感じです。
3.ダンス天国 ザ・バンドッグス 歌入り
このアルバムの中では最も原曲に忠実です。コーラスが少しまとまりがないので、荒っぽい印象を受けます。原曲よりはガレージロックっぽいです。
〈2枚目A面〉
1. モナリザの微笑 神谷正行とヤング・ビーツ
このアルバムの中では丁寧に演奏されていて、その分面白みに欠けます。
キーボードの音量が上がったり下がったりで、不安定な所が印象的です。
2.青空のある限り 神谷正行とヤング・ビーツ
ファズギターを使っていないので、ザ・ワイルド・ワンズ版のハードな感じが失われて軽い感じの音になっています。
ギターはメロディーをあまりアレンジせずに弾いていますが、キーボードは自由に弾いているような感じです。ドラムに元気がなく、いまいち盛り上がらない。ワイルド・ワンズの植田さんの激しさとは対照的です。
3.北国の青い空 大沢保郎と彼のグループ
キーボードの演奏が雑で、リズムギターもまとまりがなく自由奔放な感じです。
ドラムは原曲のムードにあっているものの、他が雑なために、原曲の美しさが失われています。このアルバムの中では、特にアドリブっぽい演奏です。
〈2枚目B面〉
1.バラ色の雲 大沢保郎と彼のグループ
メロディーは原曲とあまり変わりませんが、演奏に独特なアレンジがなされているため、原曲のイメージとかけ離れたものになっています。
2.君に会いたい 神谷正行とヤング・ビーツ
こちらは、序盤はオリジナルに近い雰囲気です。中盤にギターがやや暴走するのが見所です。
3.レッツ・ゴー・シェイク ザ・バンドッグス 歌入り
間奏のギターが物凄く音割れしていて、急にハードロックみたいになるのが面白いです。このアルバムに入っているザ・バンドッグスの3曲の中では最も荒っぽい演奏で、ガレージロック感があります。最初の「飛んでおいでよ~になってシェイクを踊ろう」の部分はテンションが低く無理やりやらされてる感があります。
(ザ・バンドッグス以外のグループの音源は、すべて歌がないインストです。)
[終わりに]
1番の問題作は「愛こそはすべて」だと思います。ビートルズ版の美しさは失われていますが、インパクトでは、原曲に勝っていると思います。ザ・バンドッグスの「レッツ・ゴー・シェイク」は、結構カッコいいです。シンプルな楽器構成に安っぽさは感じますが、音質はフォノシートの割にはきれいです。
流通数はあまり多くないですが、相場は低く、1000円あれば買えると思います。気になった方は、是非聴いてみてください。