Röyksopp "Melody A.M." レビュー

 ノルウェー出身のRöyksoppのデビューアルバムは、タイトでファンキーかつお洒落で幻想的なダンスアルバムだ。

 

 このアルバムはとてもいいダンスアルバムだ。跳ねるようなリズムの"Eple"から静かでメランコリックな"Sparks"まで、収録曲すべてが、身体が勝手にリズムを刻んでしまうような楽曲になっている。またほとんどの曲が1つのアイデアやループを中心に作られているのだが、新しい音が入ったりすることによって変化をつけ飽きさせないものにしている。

 

 曲の中心となるフレーズなどはキャッチ―なものが多く、シングルカットされた"Eple"や"Poor Leno"は正直とても耳に残って困っている。そこに追加される音は豊富なのだが全く違和感がなく、むしろ入ってくるタイミングや全体の中でのバランスが完璧としか言いようがないのでとても気持ちいい。個人的なハイライトは"In Space"のアウトロで入ってくるエレキピアノだ。唸ってしまう出来である。

 

 アルバムの音も素晴らしい。ミックスは全体的にいいものになっているし、使われている楽器やボーカルも文句なしの音だ。ドラムやベースのリズムは正確であり、そこにかなりファンキーなメロディなどが乗ることで、引き締まった音でありながらも息苦しくなく、開放的なサウンドになっている。

 

 このアルバムはダンスアルバムであり、聴けば身体が縦揺れを始めるような曲が多いのだが、クラブで大人数と踊りながら聴くだけでなく、家で1人リラックスしながらも聴けるようなアルバムになっているのがユニークだ。サウンド機械的ではなく、自然で親しみやすく、どこか懐かしいようなものになっているし、攻撃的なリズムや音もない。細かな点がきちんと構成されているので普通に聴いても楽しめる、どんな場面にでも合うような万能なアルバムである。

 

 かなりいいアルバムであるが、少し残念な点もあった。"Röyksopp's Night Out"は単体ではいい曲なのだが長すぎて、アルバムの流れを乱しているように思えたし、最後の曲"40 Years Back Come"も、最後を飾るにはいい曲であるがちょっと長く感じた。最後の2曲はほかの曲に比べ構成がそこまでよくなかったようにも思う。

 

 けれどもとてもいいアルバムだったと思うし、これから何度も聴きたいと思えるアルバムでもあった。かなりユニークなサウンドを持ったアルバムで、かつどんな人でも楽しめるようなアルバムである。特に"A Higher Place"はかなりの名曲であった。ぜひ一聴してもらいたい。8/10だ。