ザ・サニー・ファイブ ”太陽のジュディー” レビュー

VP-3 1967年11月10日

【概説】

1967年、日本ビクターは、同時期に3つのグループを売り出しました。そのグループは、ザ・モップスザ・ダイナマイツ、そして今回取り上げるザ・サニー・ファイブです。モップスとダイナマイツが不良的、不健全なイメージだったのに対し、サニー・ファイブは短髪で、品の良さや優雅さをアピールして売り出されました。大人っぽい雰囲気で、当時ブルコメ調と称されることもありました。

 

【A面:太陽のジュディー】

サックスを強調した楽曲で、他のGSの楽曲と上手く差別化出来ています。エレキギターは使われているものの、控えめであまり目立ちません。その代わりにドラムが曲を盛り上げています。B面に比べ抑揚がはっきりしていて、サビはまあまあ盛り上がりますが、品の良さを売りにしているだけあってテンションが高くない感じです。

同時発売のモップスとダイナマイツの楽曲がファズを使っているのに対し、この盤の曲は使われていないです。

 

【B面:涙のファースト・ラブ

こちらは、ハーモニカによるイントロから始まります。A面がサックスを押し出したサウンドなので、被らないようにするためか、サックスが使われていません。歌は、囁くように始まり、サビで声量を上げて盛り上がらせています。ドラムがリズミカルなものの、歌が大人しいため、やや暗めな印象を受けます。ノリの良い曲調ではないものの、ハーモニカとストリングスによる間奏は美しく、落ち着いて聴く分には良いと思います。

 

【レコードについて】

長方形の紙を二つ折りにしたタイプのジャケットで、このバンドの紹介や推薦文が載っています。これは、ザ・モップス朝まで待てない」(VP-1)、ザ・ダイナマイツ「トンネル天国」(VP-2)と共通です。

レコードは「朝まで待てない」よりは売れませんでしたが、小ヒットしたようで、流通数は多いです。相場は、状態によりますが2000円から1000円程で買えます。

 

【終わりに】

両面とも、とても好きな曲です。ただ、ザ・ガリバーズの「赤毛のメリー」やラ・シャロレーズの「うわさの二人」を聴いた時のような衝撃や新鮮味は感じられませんでした。ロックやパンクの要素があまりない分、再評価される可能性は低いですが、上品で高貴な雰囲気や、それによく合ったコーラスは、他のGSではなかなか味わうことができないと思います。