The Mighty Mighty BossToneS "Let's Face It" レビュー

 このアルバムはキャッチーで聴いていて楽しい曲が多いものの、耳には残りづらいところが残念なアルバムである。

 

 サードウェイブスカとバンドどちらもを代表するアルバムであり、このバンドが"The Impression That I Get"だけの一発屋でないことをしっかりと認識できるアルバムでもある。ロック色の強いギターにスカらしい跳ねるようなベース、力強いホーンセクションは、これまた力強いボーカルとよくマッチしているように思う。

 

 楽器面はすべて音は素晴らしいものになっているし、曲中で入ってくるところなどもよく構成されている。ボーカルはガッツがある特徴的な声であり、ロック/パンク風の曲調にとても合っている。バンドメンバーのするコーラスもとてもよい。土台にあるものは確実にスカでありながらも、モダンなロックと融合した音はどんな人でも楽しめるものになっている。

 

 曲の構成もかなりよく、全ての曲で最低2か所はキャッチーなパートがあることからも彼らの曲作りの才能がよく伝わってくる。ほとんどの曲は個性があるし、どの曲がシングルカットされてもおかしくない出来である。特に"Let's Face It"や"Nevermind Me"はなぜシングルカットされなかったのか疑問に思ってしまうくらいにいい曲である。

 

 アルバム自体の構成はないに等しいのだが、全部の曲の質がいいので問題点ではなく、むしろずっといい気分が続いて聴いていて楽しいアルバムだった。全体的に明るくノレる曲が多いので、元気が出るようなアルバムだと思う。そのノレる感じだとかが鼻につく感じもせず、いい気分で聴くことができた。

 

 聴いていると楽しいアルバムであるが、聴いた後に耳にあまり残らなかったのが、このアルバムの最大の問題点だと思う。聴いている間はキャッチーなメロディなどに気が付くのだが聴き終わるとそれがほとんどの場合思い出せないのだ。聴けば思い出すような曲もあるしシングルカットされた3曲は思い出しやすいのだが、他は聴き終わったすぐ後でもどんな曲だったかわからなくなってしまう。

 

 あと細かい問題点を挙げるとすれば、"Numbered Days"が"The Rascal King"に似すぎていることと、ボーカルがたまに何を言っているか聞き取りずらいことくらいで、他は全く問題がなかった。

 

 アップテンポで元気なロックソングがたくさん聴きたいのであれば、このアルバムは確実におすすめできる。全体的にかなりいいアルバムであったし、何度聴いても楽しいアルバムだった。問題点はあるものの、曲1つ1つは全部いいものである。シングルだけでも聴いてみてほしい。8/10だ。

 

スコット執筆