Urusei Yatsura "We Are Urusei Yatsura" レビュー
グラスゴーのギークロック系バンドのデビュー作は、歪んだ音を掻き鳴らすインディーロックを名前負けしないポップさで彩った素晴らしい作品だ。
このアルバムの曲はとてもポップだ。最初の"Siamese"における声の掛け合いから"Kernel"の"Doo-do-doo-do-doo"という安らかなコーラスまで、メロディセンスの高さがこれでもかと発揮されている。どの曲にも印象に残るメロディがあり、気づけば合わせてハミングしたり、聴いた後どこかで口ずさんだりしてしまう曲が、誰が聴いても1つは出てくるだろう。
ポップと言ってもインディーロック的なポップである。ディストーションのかかったギターや程よくやる気のなさげなコーラスがまた、いい味を出しているのだ。特に"First Day On A New Planet"で、その良さ全てがわかるだろう。このアルバムのギターは最高である。歪むところまで歪んだギターはどこかメロディアスで、"Pow R. Ball"のような力強いロックソングから"Black Hole Love"のようなスローでメランコリックなラブソングまで、いい音を響かせてくれる。
他の楽器もかなりいいものになっている。ベースはインディーっぽいシンプルなものだが、"First Day On A New Planet"や"Road Song"でのベースラインは特に曲の原動力として持っている音を存分に出している。ドラムのリズムは正確で、これもまたかなりかっこいいものになっている。
このアルバムで正直1番驚いたことは、音が全体的に綺麗でまとまりのあったことだ。ミックスは粗削りのように見えながらも全ての音がはっきり際立っており、アルバム全体をとても聴きやすく、けれどもエッジのあるすばらしいものにしている。
このアルバム、何度か聴いているのだが問題点がほとんど思い浮かばない。ちょっとアルバムが長く段々疲れてくるようにも感じられたが、曲それぞれはインディーロックでも最上級か、少なくともそれに近いものになっている。実を言うとバンド名がUrusei Yatsuraなだけでも大好きなのだが、そんなことを抜きにしてもかなりいいアルバムだ。ぜひ聴いてみてほしい。9/10だ。
スコット執筆