Van Halen "1984" レビュー

 ヴァン・ヘイレン、1984年以来となるクラシック・ラインナップでツアーを開始か。デイヴィッド・リー・ロスが言及 (2018/12/27)  洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 Van Halenの代表作とも言えるこのアルバムはポップでキャッチーでイカしたロックアルバムだ。

 

 このアルバムはとてもポップだ。"Panama"や"Hot For Teacher"など、シンプルかつ心を掴むロックソングは80年代だけでなくロック史のなかでも最上級のものだ。どの曲もすぐに入り込め、熱狂的な雰囲気に飲まれ楽しむことができるものになっていてとてもよいと思った。

 

 シンプルだとかポップだとか書いたものの、このアルバムをいいものにしているのはその曲を飾り付けるVan Halenたちのかっこよさであろう。ボーカルは自信に満ち溢れ、イケてるムードをムンムンと撒き散らしている。ギターはリフからソロからアウトロまで、説明不要のとんでもなくかっこいいサウンドを響かせている。ドラムも曲の中で確実な存在感を持ち、ビッグなサウンドを存分に鳴らしている。"Drop Dead Legs"などで聴けるコーラスも、とてもよかった。

 

 アルバム全体を通しては、ユニークな場面が多かったのも好きだった。インストの"1984"はSFチックでおもしろいと思ったし、"Top Jimmy"のイントロや"I'll Wait"のソロ、"Girl Gone Bad"のイントロなどは特にいいと思った。曲一つ一つの構成はしっかりしていて、ヴァース、コーラス、ソロなどは完璧な長さであり、長いと感じたりすることはなかったし、アルバム全体の構成もとてもよく感じた。

 

 けれども問題点もあった。アルバムの曲は全部いいのであるが、シングル、特に"Jump"、"Panama"、"Hot For Teacher"に比べるとサビがどうしても弱く感じてしまう曲が多いように思えたし、"I'll Wait"のシンセは少し安っぽい音に感じた。"I'll Wait"と"House of Pain"のボーカルのミックスは小さすぎるようにも感じたし、"Jump"ではドラムのシンバルの音が少し変になっている箇所があったように思う。

 

 しかしながら聴いていてとても楽しめるアルバムだった。ポップで、けれどもカッコいいロックは誰が聴いても好きになれるはずだし、自分も好きになった。ただシングルがあまりにも名曲すぎて他の曲が少しかすんでしまうというのは残念なことだと思った。"Panama"か"Hot For Teacher"を聴いてとてもいいと思ったら聴くことをおすすめしたい。8/10だ。

 

スコット執筆