ゲーム系ラップソングの世界:ファーストパーティの場合

 なぜかはわかりませんがゲームのCMでラップソングを使ってヒップでラディカルでクールに見せようとするのは、ゲーム機を作る最大手たちもやっちゃうことみたいですね。今回はアメリカから日本、ブラジルからフィンランドまで、世界中の事例を見ていきます。

 

 始めはもう有名になっている「ゼルダの伝説」の北米版CMです。

 正直もう言えることは言い尽くされている感じはしますけど言いますね。まず「ニンテンドーのニュースレターを見てくれよ!」「わあ!いいグラフィックだ!このゲームをやってみたいぜ!」「まだ遊んだことないのかよ?」という会話は僕が普通の人間とする会話くらい気まずくて不自然なものだし、そのあとのラップも真っ白な感じ(肌の色的に)で韻が踏めているのかわからないボーダーライン上のラップでとても首の後ろの毛が立つ感じがしますね。なんか誰もが一度はやってしまうインスタント黒歴史ラップみたいで。

 音楽もカシオのラップマンのデモ音源みたいな、やっすいラップビートでノスタルジーも感じられますね。申し訳なさそうなスクラッチ音は5歳のいとこみたいな感じで微笑ましいと思います。CMの最後に「取り付けは親にしてもらおう」って言っているのも全体のかわいらしい雰囲気を増幅させてますよね。まあこの頃のゲームは取り付け親でも難しいですが。

 

 次は日本代表、いとうせいこうメガドライブチームの登場です。

 先に正直に言いますけどここまでくると嫌いになれないですよね。ラップはちょっとオフビートな感じがしますがそこがいいんですよね。オフビートで語っているみたいなスタイルはMF DOOMにも少し似ている・・・?(比べるのをやめなさい)。「16ビットCPU搭載」っていう歌詞は16ビットのところで少し止まっちゃってて、「おめー、ファミコンもSG1000もCPUくらいはあるやろ」とずっと思っていました。「魅せる、迫る、唸る」は普通にかっこいいです。ビデオもかっこいいですよね。David Byrneみたいなスーツで宇宙遊泳しているいとうせいこうはイケイケです。あと「スピードSHOCK!」とかの後に「買ってSHOCK!」って言っている人がいて印象に残っています。実際マリオとカービィゼルダワリオとその他諸々がいないだけで・・・。ソニックはいるし・・・。

 あと「最近ゲームがつまらない、ハマらない。そんな噂が飛び交ってるけど、それはソフトのせいじゃない。ハードに限界があったからだ」っていうの、「なるほど!だからマスターシステムはだめだったのか!」ってなりますよね。・・・ブラジルなら大丈夫か・・・。

 

 ブラジルと言えばブラジル製ゲーム機のZeeboですよね!正直意図はよかったしオールデジタルっていう先進的なゲーム機だったんですけどラップソングはどうだったんでしょうか?

 Run-D.M.C.の"It's Tricky"じゃねえか!!!!!!!!いやギターとか音変えているけど明らかにパクリじゃねえか!!!!!!!!!「Zeebo!!!!」じゃねえよ!!!!まあビートはオリジナルでいいんじゃないですかね・・・。ピコピコ音は最高だと思いますよ・・・。僕はポルトガル語わからないんで歌詞は何もわかりませんが、海外のゲーム系YouTuberであるStop Skeltons From Fightingさん(元Happy Video Game Nerd)の歌詞を引用しますね。「It's tricky to plagiarize to plagiarize Run-D.M.C., it's Zeebo!!!! (トリッキーだぜパクるのは/ランーD.M.C.をパクるのは/It’s Zeebo!!!!)」

 

 さあ最後のコンテンダー、ノキアのN-Gageを見ていきましょう。そうです。ノキアです。フィンランドの会社でケータイが有名な会社ですがゲーム機も作っていたんですね~。N-Gageって名前で、日本語で書くとどうしても鉄道模型みたいになってすっごいきらいな名前です。ラップはどんなものなんでしょうね。Atmosphere during Nokia Presents N-Gage Game Deck Gaming For Nokia Phones At E3 at Park View Hotel in Los Angeles, California, United States.

 あれっ。なんで画像なんだ?って思ったでしょう。なんとこのラップ、というかこのカンファレンス自体が悪名高く(ビキニのちゃんねーの体にゲーム機の販売予定価格を書いて発表するなど)、コナミのE3 2010やソニーのE3 2006、任天堂のE3 2008などと共に(黒)歴史に名を刻んでいるんですが映像が現存しないのです。このラップもかなり酷いものらしかったのですが映像ないなら自動的に0点です。

 

 このタイアップっぽいラップソングの世界、次回があるとすればアダムス・ファミリーとラップキャリアの終焉を見ていきたいと思います。期待するくらいなら宝くじでも買ったほうがまだマシよ。

 

(スコット執筆)