ザ・ダーツ ”ケメ子の歌” レビュー

品番:LL-10047-J

発売:1968年

ケメ子の歌」は、ザ・ダーツのデビューシングルで、ビクターレコードのGS ザ・ジャイアンツとの競作でリリースされた。ジャイアンツ版の曲名は「ケメ子の」となっている。ザ・ジャイアンツの方が若干早かったが、ほぼ同時期にリリースされ、2枚とも大ヒットを記録した。ザ・ダーツ版は100万枚を売り上げ、オリコン最高2位を獲得したため、60年代後半を代表する曲として扱われている。両方とも売れたため、レコード屋で1枚100円程度で簡単に手に入れられる。

 

当時の雑誌によると浜口庫之助氏が「ケメ子の歌」を発掘したらしい。その縁で、ダーツの2ndシングルの作詞作曲を依頼され、「いつまでもスージー/君は恋の花」が生まれた。浜口氏のダーツを立派なグループサウンドに育てたいという思いから、この2曲は正統派のフォークロックとなっている。安易にケメ子の歌の二番煎じのような曲をリリースせず、正統派路線を選んだというのが素晴らしい。それに対し、ザ・ジャイアンツは、ケメ子の唄の次のシングルもアングラ路線の曲になっている。

 

臨時発売だったためかレコードジャケットは2色刷りで、1968年にしては古臭い印象を受ける。途中からジャケット左上に「オリジナル盤」という表記が追加された。この頃はヒットするとジャケットを新しく作り直す事もよくあったが、この曲では作り直さなかったようだ。

 

【A面:ケメ子の歌】(作者:不詳 採譜補作:浜口庫之助

歌詞はくだらないが、素朴で淡々としている所が滑稽で良い。「帰って来たヨッパライ」で話題になったテープの早回しによる虫声が使われている。

様々なアーティストがカバーしているので、聴き比べるのも面白いかもしれない。ただ、10年ほど前からはテレビでこの曲が使われたり、カバーされたりする機会が少なくなった。

 

【B面:ブーケをそえて】(作詞:堀井正次 作曲:土森勝則)

A面はゆったりとしたアングラソングだったが、B面は打って変わって正統派のGS路線の歌詞で、ロック調の激しめな曲調となっている。初めてこの曲を聴いた時は、A面との音楽性の違いに驚いた。B面もA面と同じような素朴なコミックソングだろうという想像を良い意味で裏切ってくれた。演奏は粗削りだが、その分生演奏の様な勢いと迫力が感じられる。作曲者はこのバンドのメインボーカルとドラムを担当している。

 

初回プレスでは、盤の曲名表記に誤植があり「ブーケをこえて」となっていたため、その後訂正された。

 

    

           ↑ こちらが曲名の誤植だ ↑

 

B面でこんな格好良い曲をやっていても、結局ケメ子の歌のイメージが強すぎたため、以降の正統派路線の2ndシングルはヒットしなかった。その後は、メンバーチェンジをしてムード歌謡路線のシングルを1枚リリースして1969年に解散したらしい。元々はベンチャーズのカバーを行っていたというので、エレキインストも聴いてみたかった。