ザ・バロネッツ ”サロマの秘密”

品番:SONA-15003

発売:1968年9月

レコード会社のCBSソニーの発足時に第1号アーティストとしてフォー・リーブスやアダムスと同時にデビューしたバンドがザ・バロネッツで、この「サロマの秘密」はバロネッツのデビュー曲です。

 

【サロマの秘密】

北国やユーカラといった北海道をイメージさせる言葉が散りばめられた歌詞で、曲名にある「サロマ」も北海道の地名です。

北海道のオホーツク海の傍に「サロマ湖」があり、その南西側に広がるのが「佐呂間町」。「サロマの秘密」の英語でのタイトルが「Misty Lake Saroma」となっている事から、この曲の舞台は佐呂間町というよりはサロマ湖周辺と捉えるべきかと思う。歌詞中のサンゴ岬は、サロマ湖にある岬です。

サロマ湖は、北海道外での知名度は分からないですが、道内では北海道最大の湖である事などから、観光名所としてよく知られています。

北海道の湖 数ある中でなぜサロマ湖が選ばれたのかが少し疑問に感じるますが、阿寒湖や支笏湖などよりも曲の雰囲気には合っている気がします。

 

日本国内が舞台になっていますが、現実的になり過ぎず異国情緒に近いものを感じられる歌詞が魅力的で、美しいメロディーも相まって品のある作品に仕上がっていると思います。コーラスも繊細で美しいです。

ただ、ミュートを使った奏法や曲調からパープル・シャドウズの影響を明らかに受けている感じがあります。

パープル・シャドウズが「小さなスナック」でデビューしたのが1968年3月25日で、ザ・バロネッツが「サロマの秘密」をリリースしたのは同年9月。「小さなスナック」に影響を受けた曲をリリースするには十分な期間がある事から、パープルシャドウズ人気にあやかろうとした事が考えられます。しかし、単純な真似ではなく、オリジナリティを感じさせる面もあり、特有の魅力があるとは思います。

このバンドはこの曲が最も有名なため、北海道のバンドだと言われることがありますが、実際の所は違うらしい。レコードジャケットにあるプロフィールによるとメンバーの出身地は千葉、東京、大阪、名古屋とあり、北海道出身者は一人もいないです。

 

 

【愛の女神】

ゆったりとしていて落ち着いた曲の多いバロネッツの曲の中では、ノリが良く、音量を上げて聴けばそれなりに盛り上がる曲だと思う。「命をささげてもいい」という部分は泣きながら歌っているような感じで、アイドル系GSによくある様な感情的な感じの曲となっている。盛り上がったり落ち着いたりする曲ですが、演奏はメリハリがあり安定感があります。両面ともスタジオミュージシャンっぽい感じはしますが、もしバンド自身の演奏なら上手いバンドだと言えると思う。メンバーによる声質の違いがはっきり分かります。

 

【終わりに】

A面はパープル・シャドウズにアイドル的要素を付加した路線で、デビュー盤のA面には地味な気もしますが、コーラスも演奏も繊細な美しさが感じられます。

B面はGSの王道を行くような系統でストリングスの使い方や歌詞の世界観がGSらしいです。

ロネッツのリリースした5曲は、どれもGSのガレージロックやR&Bという側面を好む人には合わないかもしれないですが、安定したクオリティを保っていて、どれか1曲を好きになったら他の曲も好きになるはず。

CBSソニーでは、他にアダムス、アルファードヴィレッジ・シンガーズ、ブルーシャルムといったGSがレコードを出しています。大ヒット曲と言える物はあまり無いですが、眠れる乙女やハイウェーラブといった名曲が幾つもあります。