ブラック・ストーンズ "ヘイ・ミスター・ブルーバード" レビュー 

CP-1002  1967年4月5日発売

今回は「ヘイ・ミスター・ブルーバード」を紹介します。【概説】

ブラック・ストーンズは、1966年頃に結成された伊勢崎町を中心にロックやR&Bを演奏していたグループです。横浜市内の店舗で演奏していた所を中島安敏氏にスカウトされ、東芝レコードからデビューしました。1967年6月には、シャドウズの来日公演の前座に起用されました。 このレコードは小ヒットしたものの1967年7月頃に解散しました。 1967年6月の週刊明星でのGS人気投票では、20位 1312票を獲得しました。 キャピトル・レコードのGSとしては古い方で、この後にザ・ゴールデン・カップスザ・ハプニングス・フォー、ジ・エドワーズ等のデビュー盤が発売されました。 ブラック・ストーンズの前身バンドは、ザ・ルビーズ(初代)の菊谷英二さんがソロ歌手だった時に演奏を担当していたようです。

 

 

【A面 : ヘイ・ミスター・ブルーバード】

   作詞 : なかにし礼 作・編曲 : 中島安敏 

シンプルで格好良いイントロから始まります。両方のスピーカーから同じギターのフレーズが流れますが、よく聴くと左右で音の音色が違います。

間奏では、トーンアームが効果的に使われています。

歌詞カードでは、「アップテンポの明るい感覚のロック」と紹介されてますが、あまり抑揚をつけずに淡々と歌っています。ザ・リンド&リンダースの「恋にしびれて」やザ・ルビーズ「恋のピストル」のようなはしゃぐような明るさはないです。

安定した演奏と歌声で、大人っぽい雰囲気です。 出来の良い作品だとは思いますが、あまり売れず、小ヒット止まりだったようです。 歌謡曲的要素が少ないので、当時万人受けしなかった事は無理もないですが、もしこの曲が大ヒットしていれば、GSのイメージが変わっていたかもしれません。

この曲の惜しい点は、音量のバランスが悪い点です。リードギターやボーカルの音に比べ、ベースとリズムギターの音は小さく聞き取りにくいです。録音技術がもっと高ければ、より良いサウンドになったと思います。

 

 

【B面 : 誰よりも君が好き】

  作詞 : なかにし礼 作・編曲 : 中島安敏

楽器編成を変えればカレッジフォークになり得るような曲調です。歌はのどかな感じですが、ギターの主張が激しいです。このレコード両面に言えることですが、イントロがかなり良いです。無駄がなく、力強いサウンドが格好良いです。

音量のバランスはこっちの方が良いと思います。

 

レコード盤のデザイン(赤盤)

【ジャケットについて】

ジャケットは長方形の紙を2つ折にした物です。 タイトルの部分はビートルズの日本盤シングル「イエロー・サブマリン」等に似たデザインと色使いですね。 モニュメントのようなものが写っていますが、ここは何処なのでしょう。

メンバー全員の住所が載っている事が、今では有り得ないです。 芸能人の自宅に脅迫状が送られる事が頻発していた時代でありながら、〇〇号室といった所までしっかり記載されている所に矛盾を感じます。結構長い紹介文が書かれていることから、期待を背負っていた事がわかります。

 

 

 

【終わりに】

このレコードは広告で、「異色のエレキ・グループ登場!」と紹介されていました。 今聴くとあまり異色さは感じられませんが、歌謡曲やフォーク系の曲が大半だった頃に、邦楽の中からこのような楽曲があらわれた事はとてもインパクトのある事だっただろうと思います。 このグループの惜しい点は、GSブームが本格化する前に解散してしまい、単独シングルがこれ一枚しかリリースされなかったことです。他にも色々な音源を聴いてみたかったなと思います。