香月サコ ”赤い夕日” レビュー

SDR-1354 1968年6月5日発売 

今回は「赤い夕日」を取り上げます。

 

A面:赤い夕日】

作詞:水木かおる 作曲:城美好 補作曲:彩木雅夫 編曲:森岡賢一郎

チープな電子オルガン、こもったドラムとベース、GS風なエレキギターなどガレージロック的な魅力をもった歌謡曲です。

狭いホールで大音量で演奏しているような荒く激しい楽器のサウンドと音質の悪さがうまくかみ合い、異質な雰囲気と迫力を感じます。

この曲の秀逸な所はこの激しい演奏と歌のバランスが上手く取れている所です。並大抵の歌手なら演奏に歌声が負けて、バランスの悪い曲になってしまうでしょう。曲に合わせて声量や性質は変わるものの、終始情念の感じられる歌声を楽しめます。

GSの影響を受けた歌謡曲の中でも特に激しい詞と演奏です。

 

【B面:白い肌】

作詞:藤三郎 作曲:彩木雅夫 編曲:盛岡賢一郎

A面の荒っぽさは何処に行ってしまったのかと思うような、静かなムード歌謡です。作家が違うので、歌詞の世界観も演奏もかなり異なりますが、両面とも失恋による悲嘆を題材にしているという点に一貫性を感じます。

サビらしい部分がなくあまり変化のないですが、退廃的な曲調と暗い歌詞はよく合っていて、良い曲です。ただ、単純なコード進行と遅いテンポなため、4分9秒は少し長いかなと思います。

 

【終わりに】

この2曲は全く毛色の違う作品ですが、昭和43年の邦楽の特色や空気感を感じられる素晴らしいレコードだと思います。A面は特に盛り上がる曲なのでDJをやる機会があれば大音量で流してみたい。