4.9.1. "ウォーキン・ザ・バルコニー" レビュー
品番:HIT-1010
発売:1967年7月
このレコードは、4.9.1.の3枚目のシングルだ。よんきゅういちと書いて「フォー・ナイン・エース」と読む。
GSのシングルは、作家が作った曲をGSが歌う場合も少なくないが、このバンドのシングル曲はオリジナルが多い。このレコードも製作の多くをメンバーが手掛けている。それに対しアルバムでは「花嫁人形」や「ダンス天国」など色々な曲をカヴァーしている。1967年7月は、丁度グループ・サウンズの人気がうなぎ登りの時期で、このシングルも小ヒットしている。そのため、4.9.1.のレコードの中でも入手しやすく、並品なら2000円ほどで購入できる。ただ、このレコードには、そっくりの再販盤(品番:KO6S-427)があるので、購入の際は品番に注意する必要がある。(フィンガーズ 「愛の伝説」、ビーバーズ「君なき世界」もセットで再販されている。)
【A面:ウォーキン・ザ・バルコニー(作詞・編曲:滝イサオ 作曲:司薫)】
当時の記事によるとバンドのイメージを明るく変えることを意識したらしい。確かに、それ以前の2枚のシングルよりも派手で明るい曲と歌詞になっている。「ウォーキン」というステップを取り入れた曲で、ウォーキンについての図を用いた説明が歌詞カードにある。当時流行ったかどうかはわからない。
童謡っぽい感じのメロディーの歌と城アキラ氏の物凄いシャウトのアンバランスさに初めて聴いた時は何だこれはと思ったが、何度も聴くうちにその魅力が分かってきた。独特の格好良さがある。リズムを強調した演奏が心地よく、間奏のギターのフレーズも滑らかで聴いていて気持ちが良い。
【B面:傷だらけの叫び(作詞:境一美, 水上達哉 作曲:司薫 編曲:滝イサオ)】
こちらは、A面の陽気さとは真逆の思い詰めた様な重い歌詞になっている。元々寺内企画に所属していたバンドらしく、寺内タケシ氏の影響がギターのミュートやアームの使い方に感じられる。シンプルでインパクトには欠けるが、エレキインストのアルバムを出すバンドらしい演奏に魅力がある。