カバー版探訪① 帰ってきたウルトラマン
今回は帰ってきたウルトラマンの主題歌、「帰ってきたウルトラマン」についてです。
帰ってきたウルトラマンの各種カバー版については Wikipedia 等で詳しく言及されているため、あまり深くは入らず、私の所有するレコード音源3種を聴いて思ったことなどを書こうと思います。
作中でウルトラマンに変身する 郷秀樹 役の団時郎(団次郎)さんがオリジナル版を歌っていますが、他にカバーバージョンが複数あり、○○版といって区別されています(三鷹版、山形版、外山版など)。
【コロムビア】 歌:三鷹淳 コロムビアゆりかご会
このバージョンを初めて聞いたのは小学生の頃、骨董屋でもらった裸の状態のEP盤を聴いた時で、その当時は「オリジナル版に似てるけどなんか違うなぁ」と違和感を感じながらいつも聴いてました。演奏は団次郎版と同じで、歌手が違うバージョンだとは後から知りました。
70年代のコロムビアは、シングル盤は団次郎版(品番で言うとSCS-128やSCS-449)、他番組とのコンピレーション盤では、多くはこの三鷹版が使用されていたようです。
演奏はオリジナルの団次郎版と同じ音源を使用したようですが、歌手の声質が全く違うため、はっきり違いがわかります。
「帰ってきたぞ ウルトラマン」というサビの最後の部分は、「ン」を伸ばすようになっていますが、団次郎版は声がフェイドアウトのようになっていて、いつの間にか聴こえなくなる感じです。それに対し、三鷹版は声の途切れる部分がはっきり分かり、少し気になりました。団次郎さんがそういう歌い方だったのか、ミキサーが調整したのか分かりませんが、三鷹版も団次郎版と同じ様にした方が良かったのではと思いました。
また、団次郎版の歌声はややエコーがかかったような音質で、これにより詩の区切りの中間部分になめらかな感じがありますが、三鷹版にはそういった感じは無いです。
エコーっぽくなっていない三鷹版は歌声と演奏の音がはっきり分かれているように聴こえます。
単に声の高さで比べると、三鷹版の方が少し高いです。
[レコード]
左はA面に「スペクトルマン」、右はB面に「旧1号偏の仮面ライダー」の主題歌が入った4曲入りのコンピ盤。2枚とも「テレビまんがヒットシリーズ」のレコードです。
【キング】 歌:ポニー・ジャックス ひばり児童合唱団
オリジナル版ではあまり目立たないベースが、キング版では大活躍していて、特に2回の間奏時のベースラインは見事です。シンプルにリズムを刻む感じから少し複雑なベースラインにアレンジされていて、これが本当に格好良いです。アレンジをした人のセンスを感じます。
演奏の重厚感や美しさについてはオリジナル版に劣りますが、サビの盛り上がり方や間奏においてはキング版の方が優位かと思います。
歌は、ソロ歌手+児童合唱団という構成でなく、コーラスグループ+児童合唱団となっています。これが団次郎版や三鷹版、外山版と大きく違う所で、コーラスグループ特有の歌声の厚みが感じられます。歌のメロディーはオリジナルに忠実で変なアレンジがないため、聴きなれるとあまり違和感はないです。
[レコード]
左2枚は放送当時のコンピ盤EP(品番:CC(H)-1013)のジャケットの裏と表。
右は第3次怪獣ブーム時(1978年)に発売されたシングル(品番:TV(H)-45)のジャケット。
左のEPのジャケットにはなぜかNGスーツの帰りマンのスチールが使われている(セブンと決闘するイカルス星人の左隣)。
右のシングルは二つ折りのジャケットで、帰りマンの全身が写ったポスターのようになっている。当時、ウルトラマン~ウルトラマンレオも同じような二つ折りジャケットのシングルがそれぞれリリースされました。ウルトラQのみ正方形のジャケットで出ています。
【朝日ソノラマ】 歌:外山浩爾 少年少女合唱団みずうみ
間奏のオリジナル再現度は、他のポニージャックス版よりも高いです。演奏は全体的にオリジナルに似せようとしたと感じられますが、イントロのベースなど変えられた部分もあります。正直このベースのアレンジは、あまり動きが無く昭和46年にしては古臭いという印象です。
ただ、全体を通してはオリジナルの美しさを上手く再現されており、聴いていて心地が良いです。歌声はオリジナルよりも低く大人っぽいです。オリジナルとは違った魅力があります。
[レコード]
私が持っている物は、「帰ってきたウルトラマン怪獣大図鑑」という今ではそこそこのプレミア価格がついた図鑑の付録のソノシートです。図鑑本体が無いのが惜しい…
朝日ソノラマの通常のレコード(品番ARM-4535)等でもこれと同じ音源が使われています。他にエルムからも同じ音源のレコードやフォノシートが出ています。ソノラマやエルムの物もよく売れていたため、当時このカバー版は多く流通していた様です。